Mon
05/28
2007
マース・ヒューズ中佐の子犬4
「も、中佐の馬鹿―っ」
「はいはい、だからスマンって」
あの後、観覧車が地上に着くまでの間、キスと不埒な手に翻弄されまくったハボックは自力で観覧車から降りる事が出来ずに、ヒューズにお姫様だっこで下ろされたのだ。
「もう、二度と中佐と遊園地になんか行きませんからねっ」
もう恥ずかしいなんてものではなくて。
降りた瞬間の係員の唖然とした表情は、一生忘れられないんじゃないかと思うくらいにハボックの頭には刻み込まれていて。
さぞかし驚いただろうと思う。
もう十四、五にはなるだろう少年が、観覧車から髭面の男にお姫様だっこされて降りて来たのだから。
係員だけでなく、観覧車の順番待ちをしていた客からも好奇心の漲った眼差しがヒューズにだっこされたハボックに降り注いだのだ。
あんな屈辱は初めてだと、真っ赤になって怒りまくるハボックに、ヒューズは何の衒いもなく言い切ったのだ。
「だって仕方ないじゃん、嬉しくって仕方ねぇんだもんよ」
絶対無理だと思ってたのに、両思いになれたんだぜ?
浮かれるに決まってるだろ。
その一言で。
ハボックが真っ赤な顔で押し黙った。
確かに仕方ないと言えば、言えるのかも知れない。
自分だって、嬉しかったのだ。
じゃなかったら、観覧車の中であんな事を許すはずもない。
でも。
「…悪かったって。そのお詫びと言っちゃなんだが、来週3日程休暇を取って、旅行に連れてってやるよ」
行き先は、東部の片田舎だ。
「え?」
「向こうに一泊しか出来ねぇけど、…気になってんだろ?」
親父さんの具合。
「今しか行けないだろ?元に戻ったら、ロイんトコに帰らねぇといけねぇし、な」
その言葉に。
ぽかんと、ヒューズの顔を見上げる。
「…好きなヤツの事だから、な」
照れたような表情で知っていたのだと聞かされ、ハボックは胸が一杯になる。
ヒューズを好きだと思った自分に、間違いはなかったと幸せを噛み締めた。
素直に、嬉しいと思う。
嬉しくて、ころりと涙が零れる。
「…ありがとうございます」
笑顔のままで、それでも涙を零すハボックに焦った様子でうろたえるヒューズの様子に、ハボックは今度こそ全開の笑みを零した。
嬉しくて泣けるなんて、初めてだと思いながら。
END
「はいはい、だからスマンって」
あの後、観覧車が地上に着くまでの間、キスと不埒な手に翻弄されまくったハボックは自力で観覧車から降りる事が出来ずに、ヒューズにお姫様だっこで下ろされたのだ。
「もう、二度と中佐と遊園地になんか行きませんからねっ」
もう恥ずかしいなんてものではなくて。
降りた瞬間の係員の唖然とした表情は、一生忘れられないんじゃないかと思うくらいにハボックの頭には刻み込まれていて。
さぞかし驚いただろうと思う。
もう十四、五にはなるだろう少年が、観覧車から髭面の男にお姫様だっこされて降りて来たのだから。
係員だけでなく、観覧車の順番待ちをしていた客からも好奇心の漲った眼差しがヒューズにだっこされたハボックに降り注いだのだ。
あんな屈辱は初めてだと、真っ赤になって怒りまくるハボックに、ヒューズは何の衒いもなく言い切ったのだ。
「だって仕方ないじゃん、嬉しくって仕方ねぇんだもんよ」
絶対無理だと思ってたのに、両思いになれたんだぜ?
浮かれるに決まってるだろ。
その一言で。
ハボックが真っ赤な顔で押し黙った。
確かに仕方ないと言えば、言えるのかも知れない。
自分だって、嬉しかったのだ。
じゃなかったら、観覧車の中であんな事を許すはずもない。
でも。
「…悪かったって。そのお詫びと言っちゃなんだが、来週3日程休暇を取って、旅行に連れてってやるよ」
行き先は、東部の片田舎だ。
「え?」
「向こうに一泊しか出来ねぇけど、…気になってんだろ?」
親父さんの具合。
「今しか行けないだろ?元に戻ったら、ロイんトコに帰らねぇといけねぇし、な」
その言葉に。
ぽかんと、ヒューズの顔を見上げる。
「…好きなヤツの事だから、な」
照れたような表情で知っていたのだと聞かされ、ハボックは胸が一杯になる。
ヒューズを好きだと思った自分に、間違いはなかったと幸せを噛み締めた。
素直に、嬉しいと思う。
嬉しくて、ころりと涙が零れる。
「…ありがとうございます」
笑顔のままで、それでも涙を零すハボックに焦った様子でうろたえるヒューズの様子に、ハボックは今度こそ全開の笑みを零した。
嬉しくて泣けるなんて、初めてだと思いながら。
END
by momomame at 22:00 |
小説 : マース・ヒューズ中佐の子犬4 |
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