ここのところ、新刊を出すと言いながら、オオカミ少年になっていた私ですが、今度こそ大丈夫です!
だって、もう発行しちゃいました(爆笑)
3月の大阪で出す筈が、出なかったのをそのまま入稿したので…
5月3日 東2ホール ケー30a
いつものように 「イカサマ錬金術」様 で、委託して頂いています。
お立ち寄り頂けたら嬉しいです。
by momomame at 00:58 |
イベント |
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無事に何とか「3」が終わりました。
途中で随分お待たせしてしまったりして、今までになく大変でした(笑)
次は「4」でございます。
しばしお待ち下さい。
もう少しハボックも成長しますし、ラブ度も上がってくる事と思います。ヒューズの危ない度も上がりそうですが(笑)
by momomame at 23:24 |
ひとりごと |
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『で?どう言う事か、説明してもらおうか?』
何時、連絡が行ったのか解らないけれど、今回の事件がながれたらしく、電話の向こうで怒り狂う親友の声は何時になく厳しかった。
「…すまん。ちょっとばかり浮かれてた」
家に可愛い天使が居ると言った言葉を、女が居るのだと思い込んだらしいと事の成り行きを説明して。
素直に謝れば、仕方ないと言うような溜息が聞こえた。
どれだけヒューズが、ハボックを大事に思っていたか知っているだけにそれ以上強くは言わない親友の気持ちに感謝する事しか出来なかった
けれど。
下手をすると今回の件で、ハボックの存在が他にも流れた可能性もあるぞ?
苦虫を噛み潰したような口調に、気を引き締める。
「解ってる。それに関してはちょっとばかし、探りは入れてみた」
けど、今のトコは何処にも漏れてる様子はないと告げれば、親友は今度こそ少しだけ和らいだ口調で言ったのだ。
『お前にとっては大事な想い人だろうが、私にとっても大事な部下だ。……気をつけてやってくれ』
少しだけ、照れたような口調と共に通話は切られて。
唖然とする気持ちと、面映い気持ちを抱いて、ヒューズはそっと受話器を置いた。
そして。
一言だけ呟いた。
「…おいおい、良いのかよ。そんなに大事な部下、俺んトコに置いといて」
俺なんて、どれだけ悪いヤツかお前、知ってるだろうに。
そんな風に思いながら。
切ないような。
けれど、幸せな笑みをその口元に浮かべた。
前途多難だろうけれど、それでもあの青年が傍で笑っていてくれるならもう何でも良いと思えるくらいには愛しくて。
親友も、その副官も。
表だってではないけれど、応援してくれるなら幸せになってやろうじゃないかと頬を緩ませる。
「中佐…?…」
小さな声が、遠慮がちに呼ぶのが聞こえて振り返れば、絆創膏や包帯で痛々しい姿で立つ、小さな子供が一人。
所在無げな様子で立っている。
「…もうちょっと、寝てなきゃダメじゃねえか」
「……はい、でも」
少しだけ困った様子で、けれどおずおずと近付いて来たハボックが、そっとしがみ付いて来るのに驚く。
「…ハボック?」
「中佐も、一緒が良いです」
恥ずかしいのだろう。
消え入りそうな声で言われた言葉に、年甲斐もなく顔が赤くなるのを自覚して、息を飲んだ。
けれど。
ぎゅっと、自分のシャツの裾を掴んだ手や俯いているハボックの耳が赤くなっているのを見て、苦笑する。
『確かに、家にハボックが居る状態でお前に浮かれるなと言うのも酷な話だがな』
良い年をして、二人して何をしているんだろう。
子供の初恋のような。
拙さに。
それでも、幸せを噛み締めた。
by momomame at 23:17 |
小説 : マース・ヒューズ中佐の子犬3 |
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けれど。
ドアを開いた瞬間。
そこには、ヒューズが立っていたのだ。
「中佐っ!」
走り出た勢いのままに抱き付けば、物凄い力で抱き締められた。
「……っ、ち、中佐っっ」
その姿に動揺した軍曹はそれでも、相手は幼い子供の事だ。
取り繕う事くらい出来ると思っていたのだろうか。
媚びるような口調で、近付いてくる。
「中佐、な、何か物取りらしいっスよ?」
無事で良かったっスね。
「何かこの子、恐怖で混乱してるみたいっスけど、犯人はもう逃げたみたいです」
言った瞬間、その額には無機質な鋼が押し付けられた。
「ち、中佐っ?」
「言う事は、それだけか?」
ガチャリと音を立てて、引き金に指がかかったのを見て震え上がった。
「俺の大事なハボックをここまで嬲っといて、シラ切れると思うなよ?」
つか、お前何の目的でこんな事仕出かした?
「…姉貴の仇討ちか?…俺に対する恨みか何かか?」
「…な、何でそんな子供の言う事なんか、信用するんスかっ」
同じ軍人である自分を、何故信じてはくれないのかと言う軍曹にヒューズは冷笑を零した。
「当たり前だろう?ちょっと、ハボックと似てるって思ったお前とハボックなら、ハボック取るに決まってんだろ」
やっぱ、似てるって程度の類似品になんて眼をかけるんじゃなかったぜ。
いかにも忌々しいと言う口調で話すヒューズは、腕に抱いた子供に話しかける。
「大丈夫か?ハボック。…すまなかったな、俺が不用意に家にお前が居る事をちらっと漏らしちまったから」
こんな事になったと告げるヒューズの言葉が、胸に痛く。
だから、擦り寄るようにしてその腕に身を預けた。
やり方を間違えたのは、本当だけれど軍曹がヒューズに抱いていた好意は、本当なのだろう。
それを、ヒューズは知っている。
知っていて、けれど気付いていないフリをしたのだ。
多分、気付いている事を知れば軍曹は、それ以上に惨めな気分を味わう事にも気付いているのだ。
だったら。
ハボックも知らないフリをするべきだと思った。
「…いいっスよ。研究所や、モグリの錬金術師に知られるよりはマシじゃないっスか」
そんな言葉で茶化しながら、ハボックはヒューズの胸に擦り寄った。
そんな甘えた態度は気恥ずかしいけれど。
こんな事で、この酷く優しい人の傷ついた気持ちを慰撫出来るなら良いと思いながら。
by momomame at 01:06 |
小説 : マース・ヒューズ中佐の子犬3 |
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好きで。
けれど、そのヒューズが特別に構う相手が居ると知って、居てもたってもいられなくなったのだろう。
どんな相手か値踏みするつもりで、やって来たのだ。
そして。
どうしても、許せなくなったのだ。
こんな男の子供の。
しかも余分な付属品まで付いているような、公になれば人間として扱われないような生き物が、あの上官の大切な相手だなどとどうしても認められないのだ。
「くそっ、どうしてだよっ」
言いながら、何度も何度も叩かれた。
まだ骨も筋肉も柔らかな体は、軍曹と同じ鍛えられた軍人の肉体を持っていたハボックと同じようにはいかず、殆ど抵抗らしい抵抗も出来ずに、殴られるままになっている。
いい加減、何処かが折れるか何かするんじゃないかと思えるくらいにサンドバック状態だ。
けれど。
殴っている相手の方が、痛くて泣きそうな表情をしている。
泣きそうな顔していて、どうにか殴る手を止めさせたいと思いつつ、けれどもう意識は半分くらい跳んでいて。
ただ、ボンヤリと考えていた。
(どうしよ…。こんな怪我、見たら中佐ビックリするだろなー)
そんな状態も知らないだろう軍曹が、その少しでも力を入れたら折れそうな首に手をかけようとした瞬間、ハボックは反射的に軍曹の腹を蹴り上げていた。
「げふっっ」
元々、みっちりと訓練を受けていたハボックである。
幾ら、幼い子供の体とは言え何処を狙えば少ない力でも、効果のある攻撃が出来るのかくらい熟知している。
その小さな足で鳩尾を狙って蹴り上げると、崩れ落ちた軍曹を体の下から這い出して、全力でドアに向かって走った。
外には決して出ないように言われたが、瀬に腹は代えられない。
殺されるよりはマシと判断しての行動だった。
by momomame at 00:34 |
小説 : マース・ヒューズ中佐の子犬3 |
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『本当に、中佐はアンタに様子を見に行くように言ったの?』
中佐は個人的な事を、部下に頼むような人じゃない筈だと言われ、まるで自分はるあの上官の事を良く知っているかのような言葉に更に頭に血が上った。
何処かの研究所のモルモットの癖にと、我を忘れる程の怒りを覚えた。
その瞬間。
何も考える時間もなく、反射的に腕を振り下ろしてしまっていたのだ。
子供の躯である。
殆ど本気の力で殴ってしまった躯は、オモチャのぬいぐるみのように勢い良く吹き飛んだ。
ガッ。
大きな音を立てて、壁に激突するのをアーリーはまるで現実感なく見詰めていた。
子供に怪我を負わせた事に、全く後悔はなかった。
◆◆◆
ガツッ。
「……っっ」
あまりの衝撃に何が起こったのかも解らず一瞬、目の前が真っ暗になる。
「ケッ、モルモットのガキがっっ、何でお前みたいなのが中佐の部屋に居るんだよっっ」
苛立った様子でシャツの胸元を掴んで、引き摺り立たされて漸く自分がこの軍曹に殴られた事に気付いた。
「……っっ、けふっ」
何がどうなったのかと見上げた先には、軍曹の顔を見て更に驚いた。
何が何だか判らないけれど、ひどく憎しみの込もった表情に困惑する。
そして。
それ以上にハボックを困惑させたのは、その彼の容貌だった。
ひどく、元々のハボックに似ていたのだ。
金髪碧眼と言うだけでなく、少し下がった目元も体格も冗談なくらいに似通っていて。
「…こんなモルモットのガキに、中佐は何で構ってんだよっっ」
その。
悲痛なくらいの叫びに、漸くハボックはなんとなく理解する。
この軍曹は、ヒューズが好きなのだ、と。
by momomame at 23:10 |
小説 : マース・ヒューズ中佐の子犬3 |
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「くそっ、女のくせにっ、なめやがってっっ」
どんなに誠意の込もった言葉を尽くしても、ドアを開かない相手に対して、段々とアーリーは苛立ちを隠せなくなってくる。
(どんな女なのか、興味があるだけだってのにっっ、誰も襲おうなんて考えちゃいねーよっ)
別に、ドアが開かれたからと言って、何をどうするつもりもなかった。
開かれたドアの向こうに立っている相手を、どうこうするつもりなんて全然なかったのだ。
だからと言って、だったらドアが開かれたらどうするつもりだったのだと言われれば、言葉には詰まってしまうのだけれど。
ただ。
ヒューズが《天使》と言った相手が、無償に見てみたかったのだ。
あのマース・ヒューズに愛されている相手がどんな女なのか、見てみたかったのだ。
ただ。
それだけであったのだ。
だから。
「何だ?ガキかよ」
ドアが開かれて、そこに居たのが貧相な子供が一人だった事が衝撃だった。
否。
確かにただの子供ではなかった。
普通の人間にはない筈の動物のような耳と尻尾をある子供であった。
どこかの研究所か何かからも、預かりものなのだろうか。
情報部の中佐にもなると奇妙なモノを預かる事になるのだろうかと、内心少しだけほっとする。
なのに。
その子供は言ったのだ。
少し、怪訝そうな表情で。
by momomame at 21:52 |
小説 : マース・ヒューズ中佐の子犬3 |
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その電話がかかった日の事は、生涯忘れないだろうとカール・フェルナンドは、後日友人に語った。
それくらい、その日のマース・ヒューズは恐ろしかったのだ。
元々、喰えない上官だとは思ってはいた。
けれど。
普段、本気で起こらない男の本気がどれ程に恐ろしいものなのか、初めて知ったのだ。
それはもう、夢にまで出てくる程で。
カールは今も自分達の働く職場の、上官宛のホットラインが鳴ると心臓が、きゅっと縮み上がったようになるくらいだ。
多分、それは他の同僚達も同じなのだろう。
電話がなると、皆強張った表情で上官の顔色を伺うと言う微妙に何ともアレな行動を見せるようになったのだ。
それくらい、その日鳴った電話のベルは恐怖への序章のようだった。
ジリリン。
ジリリン。
「……はい、情報部。…ん?ああ、マース・ヒューズ中佐は俺だが?」
怪訝そうな表情で、電話を取ったところまでは普通だったのだ。
けれど。
電話の内容を聞いた瞬間の表情は、何気に見ていたカールの心臓を鷲掴みにするに充分なもので。
どんな極悪人も、こんな表情はしないだろうと思えるくらいのる表情だった。
「ち、…中佐?」
無言で電話を切った上官は、静かに立ち上がると引き出しから愛用の銃を取り出し、懐にしまうとカールにあっさりと言ったのだ。
「ちょっと、出てくる」
オレん家に、誰か入り込んだらしい。
「え?ちょっ、ちょっと待って下さいっっ」
まるで近所に買い物にでも行くようなあっさりとした口調で。
けれど、その内容を理解した途端、カールは真っ青な表情で追いかけた。
追いかけないとダメだと思ったのだ。
普段なら護身用にさえ持たない拳銃まで、持ち出したのだ。
あの青年に傷一つでも負わせていたなら、相手は絶対殺されると思ったのだ。
(は、早く止めないとっっ、殺してしまうっっ)
by momomame at 22:17 |
小説 : マース・ヒューズ中佐の子犬3 |
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コン。
ココン。
「…?」
そのノックの仕方もいかにも、軍人で。
だからこそ、ハボックは開けて良いものかと困惑する。
これがヒューズだと言うなら、あっさりとハボックも開いただろう。
しかし、ヒューズはこんなドアの叩き方はしない。
絶対に、だ。
こんな叩き方をするのは、戦場に出ていない者だけだ。
簡単に軍人であると知らせるような癖は、命取りとなると知っているからだ。
こんな癖が出てしまっては生き残る事が出来ない場面と言うものが、戦場にはある。
それを肌身に沁みて知っている者は、絶対にしない。
だったら。
このドアの向こうに居るのは、誰だろうか?
「アーリー・マゴット軍曹です。中佐から、様子を見て来るようにと言われたんですが」
開けて下さい。
その言葉に、更に困惑する。
何故なら、絶対にそんな事をヒューズが言う筈がないからだ。
幼い躯に戻ってしまっただけなら、まだ解る。
けれど。
この耳と尻尾が生えた状態を、誰にも見せる訳にはいかないと熟知しているのは当のヒューズである筈だ。
だからこそ、ハボックの上官はヒューズに預けた筈なのにと首を傾げた。
それとも。
それ程に、このドアの向こうに立っている軍曹をヒューズは信用しているのだろうか。
「…開けて下さい」
コン。
ココン。
少し苛立った様子のその声を聞きながら、それでも開けて良いものか判断の付かないハボックは、そっと電話の受話器を取り上げた。
by momomame at 23:56 |
小説 : マース・ヒューズ中佐の子犬3 |
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カツカツ。
その、階段を上る音にハボックは首を傾げた。
他の人が聞いたなら、何の事はない足音だ。
けれど。
軍人であるハボックにとっては、その足音は一番聞きなれた音で。
だからこそ、不思議だったのだ。
こんな時間に、このアパートに訪れる軍人など居る筈がないのだ。
ヒューズは、ここに住んでいる軍人は自分一人だと言っていた。
なら、一体何の用でこのアパートに軍人が来るのだろうか?
少し気になって聞き耳を立てていれば、その足音はこの部屋のすぐ近くで立ち止まったのだ。
「?」
立ち止まってはいるものの、ノックをする様子もなくじっとそこに居る気配だけがあって、更に首を傾げる。
見るからに愛らしいその仕草をヒューズが見れば、完全に舞い上がるだろう事にも気付かず、ハボックは慎重に玄関に向かった。
元々、佐官が住むには不十分な広さしかないアパートである。
慎重に玄関に向かっても、未だ五歳児前後の慎重しかないハボックの歩幅でも、ものの数歩の距離だ。
じっと。
玄関のドア越しに気配を窺えば、そこにあるのはものの見事に気配がバレバレの相手で。
まだそれ程、実践の経験がない事がハボックには解った。
その事に少しだけ、ほっとする。
一瞬、何らかの情報を嗅ぎ付けたどこぞの研究者か、モグリの錬金術師かと危ぶんだのだ。
けれど、そんな相手ならばもう少しは慎重な態度をとる筈だ。
こんなに思慮も配慮もない行動には、出ないだろう。
だから。
一体、誰だろうかとハボックはじっとドアを見詰めた。
そして。
少しの間、逡巡した相手はそれでもノックをしたのだ。
by momomame at 13:38 |
小説 : マース・ヒューズ中佐の子犬3 |
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たった一人を大切に愛さず、花から花へと飛ぶ蝶のような彼女を本気で愛してくれる男は居ない。
皆、ただの遊びでしか姉と付き合わないのだ。
否。
本気で付き合っては、痛い目に遭うのは自分だと思っているのだろう。
決して、姉との未来を夢見ない。
その孤独を。
まだ、姉は気付いてもいないのだ。
だから。
こんな風に、失恋したのだと言っては自分を相手に馬鹿騒ぎをするのだ。
そんな姉の意外に陽気な酒に付き合いながら、ひどく苦い気分を味わったのだ。
それは、姉があのマース・ヒューズに振られたからなのか。
姉のその、無自覚な孤独に痛ましさを感じたからなのか。
もしくは。
マース・ヒューズの最愛の恋人に対する、醜いばかりの妬心なのか、アーリー自身にも今ひとつはっきりしない苦さだったのだ。
だから。
その日の巡回で。
マース・ヒューズの自宅のあるアパートの前に差し掛かった時。
自分でも自覚のない好奇心に駆られて、その建物に入ってしまったのだ。
それが。
どれだけ、恐ろしい結末を迎えるかも知らず。
それが。
自分でも自覚のなかった、恋心からくる《嫉妬》であるとも気付かず。
ただ。
敬愛してやまない、《上官》の恋人に対する好奇心だと思っていたのだ。
by momomame at 00:02 |
小説 : マース・ヒューズ中佐の子犬3 |
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今までの戦歴を知る弟としては、信じられない事だっただけに一体誰に振られたのかと聞いて、姉の応えた名前に唖然とする。
相手は、彼の切れ者マース・ヒューズ中佐だと言うのだ。
相手のあまりの大物さに、思わず頷いてしまったのが運の尽きだった。
最初はそれでも姉の威厳を保った程度の飲み方だったのが、アーリーの呆れを敏感に嗅ぎ取ったシリアは途端に無謀な飲み方を始めて、泣いて喚いて大騒ぎの末に撃沈して下さったのだ。
姉曰く、『中佐が家に、女を連れ込んでる』らしいのだ。
最初は、何の冗談かと聞き流していたけれど、その『可愛い天使』が待っていると言ったと言うのだ。
男が『可愛い天使』なんて言い回しをして、飯を作ってくれると言えば、もう《女》しか有り得ないではないかと嘆く姉の言葉には流石のアーリーも頷く事しか出来なかった。
そんな調子でくだを巻き、大袈裟に嘆いて自分に絡む姉が自分で思う程には、傷ついていない事くらいアーリーは知っている。
姉は素気無く断られた事に傷ついているだけであって、別に中佐に振られた事に対しては何とも思ってはいない筈だ。
弟の目から見ても、美しい女だと思う。
けれど。
《恋》と言うものを知らない人なのだ。
子供の頃から、群を抜いて綺麗だった。
だから。
美しい外見に惑わされて、皆がちやほやしすぎたせいだろうか。
自分から、必死になって相手の関心を買う必要がなかった彼女は相手に恋をする事を知らない。
結果、自分がどんなに寂しい女なのかに気付けないのだ。
by momomame at 23:06 |
小説 : マース・ヒューズ中佐の子犬3 |
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お待たせいたしました〜(涙)
ようやく更新出来る状態になりました!
…ただ、コピー本にした時に、多少手直しをしたので中途半端な所からの再開になってしまってます(すいません)
前回分にちょっと戻って頂ければ、続きだって解って貰えるかなと思います。
頑張って残りの更新もしていきますので、覗きに来て下さいね。
PCにデータが入ってないので、打ち直しなんです。
誤字が怖いなぁ〜(笑)
by momomame at 23:48 |
ひとりごと |
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それはカールが考えていたのとは、少しばかり違う形ではあったけれど。
◆◆◆
アーリー・マゴット軍曹はその日も、マース・ヒューズ中佐の自宅周辺の巡回を担当していた。
別に巡回自体は嫌いじゃない。
元々、書類仕事の嫌いなアーリーにとっては、とても好きな仕事の一つだ。
それに。
マース・ヒューズ中佐に対して、密かどころか誰憚る事なく尊敬していると声を大にして言える程度には憧れてもいるので、その自宅周辺の巡回となれば趣味と実益を兼ねた楽しい仕事だった。
そんなアーリーのドコをそれ程気に入ってくれたのか、ヒューズもそこそこに目をかけてくれるらしく色々と声もかけてくれるのだ。
だから、自分がヒューズのお気に入りであるのだと思っていた。
ヒューズの“特別”だと思い込んでいたのだ。
だから、つい悪戯心を出してしまった。
普段なら、そんな事を考えも付かなかっただろう。
元々それ程、頭の良い方ではないからあまり深くも考えずに、行動を起こしたのだ。
けれど。
その日は少し、違っていた。
正直、苛々としていたのだ。
理由は、自分でもはっきりとしていた訳ではなくて。
昨晩、姉のシリアが散々に飲んで暴れたのだ。
それは何時もの事で。
姉は何かあれば、何時だって弟の所へやって来ては八つ当たりをして行く。
それはもう幼い頃からの、習慣のようなもので。
だから、それ自体には何の不服もない。
姉とはそんな理不尽な存在だと、幼い頃から刷り込まれて育っているアーリーには、最早当たり前の事で。
それでも。
今回の事に関しては、まるで喉の奥に魚の小骨が引っ掛かっているみたいに、鈍い痛みのような不快さが残るものだったのだ。
何時ものようにアーリーの部屋にズカズカと入り込んで来たシリアは、今まで聞いた事のないような事を言ったのだ。
弟から見ても充分と言うか、とんでも無く綺麗な姉が振られたと言うのだ。
by momomame at 23:42 |
小説 : マース・ヒューズ中佐の子犬3 |
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